この女の子、YouTube にハマってる人なら見かけたことがあるだろうか?
彼女は Bree という 学校に行かず家で勉強している (home-schooled) 16歳の女の子。
又の名を lonelygirl15 といい、親に内緒でで自身のビデオを 6月ごろから YouTube に自身の独白ビデオを投稿している人気ビデオブロガーだ。
ちょっとミステリアスな背景と、Lindsay Lohan (リンジー ローハン) を素人っぽくしたようなかわいいルックスでじわじわと人気上昇し、最近では YouTube の Most Viewed (一番見られたビデオ) の常連となっている。
これまでに投稿された映像を見てもらうとわかるが、16歳にしては意外にしっかりと話し、出来上がった映像もいくつかのシーンを繋げ、BGM まで付けてあるなど素人っぽくない。 そこで世界中の人が lonelygirl15 は誰なんだ? リアルなのか? それとも何かのプロモーションなのか? と疑問を投げかけるようになった。
この疑問の答えが思わぬところから見つかる。
先月末 lonelygirl15 がファンに送った email の 発信元を調べたら (Spammap と同じ原理ですな)、 ビバリーヒルズにある Creative Artists Agency (CAA) というタレント事務所のようなところからだとわかった。 これで、lonelygirl15 はどうやら作られたキャラクタだということがわかり、今度はその意図を探ろうとまたひと騒ぎ。
始めは ブレアウィッチプロジェクトのような自主制作映画の前フリじゃないか? 秋からの新しいテレビ番組の何かじゃないか? といった感じだったが、ハリウッドの映画会社が YouTube の視聴者を利用するための陰謀だというようなネガティブな意見も出だしたこともあり、2週間ほど経ったところでとうとう製作者たちが登場し謎明かしがされた。
lonelygirl15 は Miles Beckett (マイク ベケット)、 Mesh Flinders (メッシュ フリンダース)、Greg Goodfried (グレッグ グッドフライド) という 3人の製作者が作った架空のキャラクタで、 Bree を演じたのは Jessica Rose (ジェシカ ローズ) という19歳の女優だった。 製作は Flinders 家のベッドルームを使い、撮影は $150 で買った QuickCam 。 先のCAA というタレント事務所は、製作の支援および法務の担当をしていた。
この真実を明らかにして以来、Bree を演じる Jessica Rose はテレビに引っ張りだこ。 始めは騙しててゴメン的なコメントもあったが、肯定的な意見も多かったためだんだん演じていることを楽しむようなコメントへとシフトしているように見える。
フィクションをノンフィクションのように見せてたというより、情報を制限していたら製作者の意図しない勢いで広がっていってしまったという感じではないだろうか。 結果論になってしまうが、これが大企業の戦略ならイヤラシイという感じだが、セミプロな製作集団の作品としてなら許せるというのがオレの印象かな。
lonelygirl15 の YouTube の投稿は何事もなかったかのように行われ、人々も Bree というキャラクタの真実を知った上で楽しもうとしている。 画質は低いし、時間も短い YouTube 発のコンテンツだが、OK Go のような PV 以外にもやりかたによってはブームを巻き起せることを示した貴重な事象になると思う。 こうやって製作者も視聴者も成長し新しいメディアが育っていくのだろうなぁ。
参考:
WikiPedia: lonelygirl15
シリコンバレー101 第192回 仕掛けだったLonelygirl15、作られた情報に揺らぐネットの信頼
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