Category: 03 コンピュータ

Macworld Expo 2008 観覧記 その2 – いつもと違った Apple ブース

MacBook Air が目立つ Apple ブースだが、例年とはちょっと違った感じ。 それは Apple のブースは基調講演で発表された新製品ばかりが展示されていた。

入口近くのテーブルに MacBook Air

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ステージの両側に iPhone と iPod touch (ともに最新 Firmware) の展示テーブル、

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ステージに沿ってそのまま左に行くと Apple TV (Take 2) の展示、

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右に行くと先週発表された Mac Pro、これだけが唯一の例外だった。

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例年なら、OS X やら iLife やら、MacBook Pro やら iMacやらと Apple のショールームのような感じでいろんな商品が紹介されていたのだが、今回は既存の製品に関するコーナーは一切なし。 今年の Apple のブースは少数精鋭という感じ。

MacBook Air に注目を集めたかったからか、製品群が増えただけに中途半端にコーナーを作っても意味がないと判断されたのかはわからないが、MacBook Air と MacBook や MacBook Pro との比較ができなくて残念だった。

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Apple TV は Movie 関連の機能を強化したとのことだけど、まだまだ一般の人向けに浸透するにはどうかなぁと疑問。 UIの素晴しさはうらやましいけど、テレビっ子なオレはTiVoの方が使い出があるかな。 テレビに接続して使うだけにテレビ放送+αなのがこの道のアプローチなんじゃないかと思うんだけどどうだろうか。

ウチで買った Wii にしてもいろんなチャンネルがあって楽しめるという触れ込みだったが、ゲームをプレイしたついでにいろんなチャンネルをチェックすることがほとんどで、プレイしたいゲームもなくなった最近は電源を入れる機会が減ってきている。

Apple TV にとって Wii の”ゲーム”に相当するような “何か” を用意しないと、電源を入れる理由や、購入を決めてくれる理由にならないんじゃないかと思う。 今回のアップデートで映画好きな人は Take 2 で気持ちが揺らいだかもしれないが、もう一声欲しいところ。

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iPhone, iPod touch のコーナーは人の入りもボチボチ。 もうアメリカ人の中では浸透してきて目新しさがないのかな。 本筋からは外れてしまうけど、上の展示台が気に入った。 メタルの質感もよく、このまま Apple マーク付けて売ってくれないかなぁと思ってしまった。

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iPod touch を上に乗せるとこんな感じ。 結構良くない?


Macworld Expo 2008 観覧記 その1 – MacBook Air 触ってきた

Macworld Expo に今年も行ってきた。 まずは、MacBook Air の話をまとめてみようと思う。 写真はクリックすると大きな画像がポップアップするので気になったら見て欲しい。

Apple ブースに行ってみると、通常はちょっとした壁が置かれているところにでかいテーブルが置かれ、そのまわりにものすごい人だかりが。 まさに人で壁を作ってしまった形だ。

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そのテーブルの上にはもちろん MacBook Air。 この薄さにはやはり目がいってしまう。

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持ってみるとムチャクチャ軽いというより、意外にがっちり、しっかりしているという印象。 ディスプレイはとても明るく、 斜めからも十分見られる。 あまり気付かなかったがテカテカ液晶だったと思う。

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キーボードはこれまでとあまり変わらず、普通な打ちごこち。 薄いからショボイということはなかった。

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MacBook Air はパームレスト部分が熱くなることがなく快適。 小さなCPUファンが内蔵されているだけだが、アルミの底面全体で熱をうまく逃がすことで効率良く放熱を行っているらしい。

実際、下の写真に写っている裏面の電源部近くを除きをほとんど熱さを感じなかった。 そこでもちょっと暖かいという程度。

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期待のマルチタッチはOSレベルでサポートしているので、アプリケーションが特別な作りをしていない限り動くようになっているらしい。 コントロールパネルではどんな動きなのかを紹介するムービーも表示されるのでわかりやすい。 個人的には二本指タップでコンテキストメニューというジェスチャーが便利そう。

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Preview アプリケーションがデモとしていい感じで動いていた。 しかし、iPhoto は画像の回転が 90度ごとにしか動かないなど一部動きが異ることも。 このヘンの動きは早めに統一しないとユーザに「動きがどうなるかわからなくて使えない機能」という烙印を押されてしまうかも。

別売りの 外付けCD/DVDドライブはこんな感じ。 ほとんどディスクと同じサイズで小さなサイズになっているんだけど、やっぱりこういうのが付くと MacBook Air の良さが一気に損われる気がする。 デモ中も接続せず、横に置いてあるだけの状態がほとんどだった。(みんながMacBook Airを持ちあげたがるからというのもあるが) ちなみに、Eject ボタンらしきものが存在せず、「詰まったりしたらどうするの?」と説明員に聞いたときは「わからない」と答えが返ってきた(笑)。

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前のエントリで疑問だった Remote Disk 、なんとOSじゃなく ファームウェアレベルで対応しているらしい。 説明員も実際に見たわけではないと断りをいれていたが、起動時に Remote Disk からのブートが選べてそこから起動できるはずと言っていた。 また別に書こうと思っているけど、本当ならこれってスゴい話だよ。

ちょっとボケてるんだけど、下の写真は Remote Disk で他のPC越しに Mac の Disc を入れたところ。 あと、iSight の右にあるのがマイク、左にあるのがキーボードのバックライトを On/Off する明かるさセンサーも見ることができる。

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残念ながらSSD モデルの展示はなかったが、 説明員の話では、速い、電池が長持ち、回転する部分がないので壊れにくい、といいことづくめらしい。 (値段が$1000増しになることは除く)

ACアダプタはテーブルの中にしまわれてて見えなかったけど、新型 MacBook Pro と同じで、コネクタ部が新しくなっているだけらしい。

気になったところとして、画像の拡大縮小や、キーボードによるテキスト入力時にちょっとひっかかるような遅さを感じた。 スピードに妥協はしていないと言ってはいるが、CPU は MacBook の 2.0GHz, 2.2GHz よりもちょっと遅い 1.6GHz, 1.8GHz だし、ハードディスクも 4200rpm と最近のモデルにしては遅いものになっている。

メインマシンとして考えるとこういったところで、ジワジワとストレスを感じるかもしれない。 そしてセカンドマシンとしては値段の高さが気になってしまう。 マシンは工業的にも芸術的にも素晴しい出来なのは同意できるが、製品として考えるとターゲットとなる層はどこになるんだろう、誰になら勧めてもいいんだろうとちょっと疑問を感じてしまった。


Steve Jobs の基調講演を1分で振り返る

昨日行われた Steve Jobs の基調講演(キーノート)。 Apple のサイトでその内容がストリーミングで見ることができるが、全部でおよそ90分の映像なため時間に余裕がないと見るのも大変。

そんなあなたのために、ビデオブログ Mahalo Daily が90分の映像を1分にまとめてくれた。

いやー、なかなかうまくまとまってる(笑)。
たしかに、言ってることはこんなモンなんだよなぁ。
おまけ映像として、Job がよく使う

extraordinary, incredible, tremendously, amazing, unprecedented, great, revolutionary, unbelievable… (どの単語も「ものすごぃ」って感じの意味)

というような、誇張表現が最後にまとめられてこれも面白い。

よく使う表現と言えば、おきまりの boom (ブーン, すごい画面が出てくるときにジョブズが口にする効果音) が今回は1回だけだったとか。


なつかしの Boom 映像

Macworld Expo 2008開幕, MacBook Air 発表

例年以上に噂話で盛り上がった感のある Steve Jobs のキーノート(基調講演)が終わった。 昨日書いた、リーク情報はいくつか当たっていたけど構成も全然違うし、iPhone の日本展開の話も触れられずじまいだったね。 やっぱりガセだったか。

さて、今回のイチバンの目玉はやはり MacBook Air

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最も薄いところで 4mm, 厚いところでも 2cm 以下、重さは約1.3kg と薄型、軽量と突き詰めたような作りになっている。 いやーほんと薄い。 ここまで薄いと逆に普段の使用で壊れないか心配してしまう。

薄さを追及した分、いくらか拡張性が犠牲になっているようだ。 対応しているポートは USBx1 と Micro DVIx1 とアナログのオーディオ出力のみ。 これだと、会社で使おうとしても Ethernet が使えなかったり、プロジェクタに繋げられなかったりと何かとメンドウ。 どちらもアダプタを購入すれば可能だけど、せっかく薄いMacBook Air でも使うのにアダプタをジャラジャラ付けなきゃいけないのもねー。

ま、そういった人には MacBook Pro (か MacBook) を使ってもらって、Apple が想定したワイヤレスインターネットのみでオッケー、USB周辺機器や外部モニターもあまり使用しない、とにかく軽量、薄型がいいという人に MacBook Air を使ってもらうという分け方になるのかな。

気になったのは、OSの再インストールやアップグレードの方法。 再インストールはHDのOSパーティションから起動すれば何とかなるかもしれないけど、Leopard の次バージョンのOSをインストールするときには Remote Disk じゃブートできないから無理そう。 OSのアップグレードには別売りの Super Drive が必須になってしまうんだろうか。

そうそう。 マルチタッチはなんか未来を感じるね。 Mac OS 上でサポートされたのなら、サードパーティとかがいろんなジェスチャーを開発するなんてこともできそう。 これで操作が一気にラクになったら Mac OS そのものの魅力も増すだろうし。

懸念事項としては、普段はマウス繋げるから使わないユーザが多いかもしれないぐらいかな。 はっ、Apple の次のターゲットはデスクトップユーザ向けの マルチタッチ+マウス なインプットデバイスかも。

自分の中でも大絶賛というわけでもなく、ダメダメというわけでもない MacBook Air 。 今年は木曜日に会場で見てくる予定。


iPhone は日本の携帯キャリアにとって両刃の剣になりそうな予感

KDDIもiPhoneについてアップルと交渉–auの冬商戦は苦戦中:モバイルチャンネル – CNET Japan

ただし、小野寺氏によれば、アップルはGSMの次にW-CDMAへの対応を考えているようだという。KDDIとしても利益を上げられるビジネスモデルを確立することが難しいといい、auでの投入は見送ることになりそうだ。

iPhone の日本での販売権をめぐる戦いが繰り広げられているようだが、なんとしてでも欲しいと動いている NTT Docomo や Softbank に比べると au (KDDI) はちょっとは冷めた様子。 でも、オレは KDDI の対応が正しいんじゃないかと思っている。
もちろん、iPhone を日本で発売すれば、Apple ブランド、iPhone ブランドということであっという間に十万台ぐらいの売上げは記録し、ヒット商品になるのは確実だと思う。
しかし問題はそれから。 アメリカの携帯キャリアは日本のように、冬モデルや夏モデルといった決まった時期に端末を販売するということはしてないし、そもそも 905シリーズ、Xシリーズのようなシリーズ展開をしているわけではない。 機能は端末ごとにまちまち、発売時期や期間もバラバラというのがアメリカの携帯事情。
こんなアメリカの携帯文化の中にいる Apple が携帯キャリアのシリーズ展開に合わせて製品の開発や販売をしてくれるとはとても思えない。
開発という点では、たかだか十万台のために Apple の開発者が iMode ブラウザ や デコメ といった仕組みに対応してくれるとも思えない。着うたなんて iTunes Store とカブってるので実現なんてありえないだろう。
iPhone は間もなく SDK がリリースされるようなので、それを使って3rd パーティが開発し携帯キャリア側でバンドルするような方法もできなくないが、アメリカのように Apple Store でも販売されることを考えるとこのヘンの仕組み作りも大変だろう。
1年ほど前に MotoRAZR が NTT Docomo から発売されたときも同じことを思ったが、このときは勢いだけで売ってすぐ販売終了という手でうまく逃げた感がある。 鳴り物入りで投入される iPhone に同じ手が使えるかどうか…。
iPhone は日本の携帯文化の中では物凄く異端な存在。 ヒットは保証されているだろうが、うまく付きあっていくには相当の努力がいるだろう。 単純に機能比較すると今のところ iPhone は日本の携帯電話と比べると勝てる点は少ないという事実もある。 ある程度のブームが去ったところでジワジワとダメージを受けるようなことにならないことを期待したい。 いっそのこと、iPhone は Apple Store だけで売ってキャリアは裏方に徹する (契約料だけで稼ぐ) ぐらいの割り切りをした方が幸せになれるかも。


“ペーパーケース” が日経パソコンで紹介されました

まだ古いサーバで運用しているけど、数少ない自作サービスのひとつ “ペーパーケース (Paper Case) ” 。 普通紙に印刷して折り紙すると、あら不思議 CDやDVDのディスクを入れるケースができてしまうというモノ。 オレも普段から車で聞くCDやバックアップしたDVDなどを整理するのに使っていて、手前味噌ながらもとっても重宝している。
そんなペーパーケースが日経パソコンの記者さんの目に止まり、現在発売中の日経パソコン (12/10号) の特集の中で紹介してもらえることになった。 (担当者の方、献本をわざわざアメリカまで送っていただきありがとうございました)
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さっそく、記事を見たという方から機能追加の要望も届いたりと反応も良好でうれしい限り。 日経パソコンは本屋では買えないんだっけ? 職場などで講読している方はぜひ目を通してみてください。 年末の大掃除に合わせて、パソコン周辺の整理術という特集でとってもためになりそう。
おっと忘れるとこだった。 ペーパーケースもよろしくお願いします。


お札を折って iPhone/iPod touch のスタンドにするワザ

Engadget (英語版) の記事 より (きっと日本語訳されたのも出るでしょう)。 $100 紙幣を折って iPhone/iPod touch のスタンドにするという小技が紹介されていた。 ちょっと折り方が複雑だが、出来上がりは結構好き。

ムービーの最後にあるように$1札でもオッケーだし、もちろんプリント用紙などをお札と同じ縦横比に切って作ってもオッケー。 あえて$100 を使うことでインパクトを与えるとともに、ジョークが利いてていい。
ちなみに、アメリカの $100紙幣は Wikipedia によると 7.4218 × 3.125 in ≅ 189 × 79 mm デス。 A4 なら長辺を使って 297mm x 124mm に切るか、短辺を使って210mm x 88mm にするといいかな。
iPhone のスタンドは充電用で横置きできないし、iPod touch にはスタンドが付いてこない。 折り方を覚えておいて、ちょっとした紙で台を作れるとビデオを見るときとかに重宝しそう。


シリコンバレーを皮肉るパロディビデオ “Here Comes Another Bubble”

ウェブ時代を2分45秒で把握できる『Here Comes Another Bubble』
かなり皮肉っぽい感じではありますが、今ウェブで起きていることをさくっとまとめた映像がありました。軽快な音楽のわりにメッセージは強烈ですよw。よくできています。

すげぇ面白い。 タイトルを翻訳すると “次のバブルがやってきた” って感じなんだけど、ウェブというより最近のシリコンバレーの様子をうまく突いてると思う。 この中で歌われているように成功した人たちがまわりにいる中、景気のいい話を聞くたびに「ちょっとバブってんじゃね?」なんて思って何もできないオレのような人たちもいっぱいいたり(笑)して、ある意味当事者なだけに余計に笑えるのかも。
原曲は Billy Joel の 1989年のヒット曲 “We Didn’t Start The Fire” (邦題はなぜだか “ハートにファイア”)。 この曲は Billy Joel の曲の中でも異色なモノで、サビ以外は 1949年から 1989年の間に起こった事件や有名人などを順に並べているだけという変わった作りになっている。 そのためか歴史の教材として学校で使われることもあるらしい。
オフィシャルなPVはコチラで見られるが、変わった作りの曲なため、下のビデオのような解説ビデオや パロディビデオも多く作られている。 それをわかった上で “Here Comes Another Bubble” を見るとその良さがよりわかるんじゃないかな。

“Here Comes Another Bubble” の中でブログを皮肉って “Won’t you blog about this song?” (この歌のブログを書いてみたら?) なんて歌詞も出てくるんだけど、その通りまんまと乗せられてしまった…。


iPhone/iPod touch の jailbreak (TIFF exploit) 解説

ちょっと前、iPhone/iPod touch のTIFF脆弱性を突くための画像を生成するソースコードが公開された。
どんなもんだろうとちょっと見てみたら意外にシンプルでびっくり。

http://www.toc2rta.com/?q=node/30
http://www.toc2rta.com/files/itiff_exploit.cpp

興味が湧いたので周辺の情報も含め少し調べてみたら、ハッカーたちの苦労も知ることができてとっても面白かった。
せっかくだったのでまとめてみたいと思う。

かなり長くて、技術的な話になってしまった。 退屈かもしれないけどよかったらお付き合いください。

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Apple 製品の発売が金曜日の午後6時な理由

Apple の新 OS、 Mac OS X 10.5 Leopard 発売される。 オンラインで買った人にはぼちぼち届いているようだけど、アメリカの店頭での発売は今日の午後6時から。

少し前の iPhone の発売の時 も午後6時からだったように、Apple の新製品発売は金曜日の午後6時というパターンが多い。

日本なら深夜0時に発売か土曜日の朝イチに発売といったことが多いが、Apple が午後6時を選択するのは生活に影響が少なく、遊んでもらう時間が長くなるようにするためらしい。

午後6時なんて日本の人にすれば中途半端な時間かもしれないが、アメリカでは金曜の午後5時ぐらいから、もう仕事なんか切り上げて遊びはじめる時間。 もちろん学校とかも終わってるので学生もオッケー。 会社や学校帰りに新しい製品を買ってもらい、その夜と週末で存分に楽しんでもらおうというわけ。

この方針になったのはたしか数年前からで、それより前の Jaguar (10.2) は深夜0時の販売開始だった。 このときはオレも Apple Store のところに並んだんだけど数時間も前から行列ができ、販売開始になっても iMac を使った Apple Store の遅い会計システムが災いしてなかなか列が進まず買えたのは深夜1時ぐらいでまだ列は続いていた。 店員の人が帰宅できたのはいつになったことやら。

イベントのお祭り度合と、発売イベントの準備や運営側の大変さを考えると午後6時からというのはなかなかいい時間なんじゃないかと思う。 少なくともアメリカに住んでる限りは。

見返してみたら似たような話は Tiger (10.4) の発売の時も書いてたな…。

残念ながらウチの iMac G4 700MHz はとうとう Leopard の対象外となってしまった。 iPhone/iPod touch の SDK って Mac 版しか出ないのかなぁ….。