シリコンバレー地方版: ビデオ・オン・デマンドがやってきた
ビデオ・オン・デマンドのサービスを受けるには、コムキャストのデジタルケーブルサービスに加入していればよく、特に追加の設定や機器は必要ない。 後はメニューから見たい映画を選ぶだけ。 1本$3.99が課金される。 コムキャストでは先月からDVRサービスをスタートしており、TiVo同様にデジタルビデオ録画が可能になった上に、今回スタートしたビデオ・オン・デマンドでライバルに大きく差をつけることになる。
シリコンバレー近辺で、ケーブルテレビネットワークを展開している Comcast (コムキャスト)。 12月の中旬よりハードディスクの付いたDVR (Digital Video Recorder) 機器を提供するという発表が以前から発表されていた。
これによって危機感を覚えたのが、同じくシリコンバレーに本社がある TiVo という 老舗 DVR メーカ (オレもユーザ)。ケーブルテレビを契約するとDVRが無料で付いてくるようになると、一番安いモデルでも本体で $99, サービス料として毎月 $13 ほどかかる TiVo は不利だ。しかも、Comcast の DVR には ビデオオンデマンド まで付いているのでは機能的にも差がついてしまう。
こんなこともあって、TiVo は最近いろいろな対抗策を発表していた。
まず、TiVo はこれまで有料だったPCやMac上に保存されている音楽、写真をTiVoで観たり聴いたりできるようにするサービスを無料で開放、またインターネットを介してコンテンツをTiVoへダウンロードするようなサービスを開発中と発表。 一時期、 BestBuy という量販店が話題のアーティストの mp3 データを提供したりしていた。
そして、9月にはサンフランシスコに本社がある宅配便レンタルビデオサービス Netflix と提携しビデオオンデマンドサービスを準備すると発表(実際の開始時期などは未発表)。 Netflix は日本でいうぽすれんのように毎月一定額を払うことで一度に最大何本かのDVDがレンタルできるというサービス。 現在のTiVoの基本料金で、月1,2本の映画レンタルも込みになったらオトク感が出るのではないだろうか。
きわめつけは 去る12月17日(金)、Comcast のユーザでTiVoを持っていない人が寄付のためのおもちゃなどをもってくると、代わりにTiVo 1台を無料であげるという発表をして、2000人のComcastユーザがTiVoを無料で手に入れた。
また、今年初めに発表され、もう間もなくと噂されているTiVoで録画したデータをPCにコピーして観賞したり、DVDに焼いたりすることができる TiVo Togo というサービスも控えている。
まだサービスが提供されていないものも多いが、こうやって振り返ると TiVo の矢継ぎ早のサービス発表はComcast の DVR 進出を意識したものだったのだなぁと納得。
専用のインフラを持ち排他的にサービスを提供しようとする Comcast とインターネットなどを使ったオープンな仕組みでテレビ+αのエンターテイメントセンターとしてリビングにのりこもうとする TiVo という構図だろうか。 インフラと密に繋がっている Comcast の方がコンテンツを手軽に提供でき値段も安く見せることができるため、TiVoの苦戦がしばらく続きそうだが、逆にオープンなしくみを利用することでテレビに限らない面白い仕組みが提供できるのではないかと思う。 いずれは日本でも同じような攻防が予想されるだけに今後の行方に注目だ。
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