Category: 03 コンピュータ

Macworld Expo SF 2005 観覧記 その3 – Mac OS X 編

昨年、初めて Mac OS X 10.4 (Tiger) の全容が公開されたときに書いたエントリで、新機能にあまり魅力がなくこのままでは Mac OS がどんどん陳腐化してしまうことを心配した。 それから約半年後、質問をしながら実際に動いているのを見て少し意見が変わってきた。 まだ問題もないわけではないが、Apple は少しでも OS を良くしていこうと努力しているのが感じとれたのだ。

今回、とくにグッときたのは以下の技術:

Spotlight
Google, Yahoo!, MSN などが覇権を争っているデスクトップ検索の分野に対する Apple のソリューションとして Tiger に導入されるのが Spotlight という機能。 メニューバー付近にある検索窓に文字を入力すると検索結果が表示されていくデモが印象的だが、オレはむしろ検索したあとの表示の仕方に興味を覚えた。

検索結果の表示方法の一つが下のスクリーンショット。 検索結果を種類ごとや、日付け、作成者に応じてグルーピングをする機能、Home 以下にあるファイルのみ、サーバ上にあるファイルのみといったフィルタリングの機能が用意されている(あまりキレイに撮れなかったので必要ならAppleサイト内のムービーも参照して欲しい)。 検索は一度でズバリ見つかることは少ないので、はじめは大まかに、そのあと絞りこみをして見つけるというスタイルが多くなると思う。 そういったところをちゃんとカバーしているところに好感をもった。ちなみに、Safari RSS も RSS の表示に同様のフィルタリングができた。

そして、検索、フィルタ、グルーピングの状態を特殊なフォルダとして保存しておけるので、次からはそのフォルダを開くことで関係したファイルが自動的に表示することができる。 これはユーザのファイル管理の方法を大きく変えるかもしれない。 デスクトップ検索の機能はまだ Google Desktop Search しか使ったことがないが、こういった機能は Google Desktop Search にはなく、OSに組みこまれた機能ならではというところだろうか。


Spotlight の検索結果管理画面

この技術の唯一かつ最大の弱点は Apple が標準でサポートしているフォーマット以外をSpotlightの検索対象にしようと思った場合はインポーターと呼ばれるライブラリ(API?)を3rd Party が用意しなければならないこと(Palm OSみたいだ)。 Apple のがんばりとは関係なく、こういった新技術のサポートはなかなか進まないのが一般的なので、そこに不安が残る。 ただ、 HTML/PDF/DOC/XSL あたりは最初からサポートされるようなので(DOC/XSL は説明員も「たしか…」とちょっと怪しかったが)、多くの人には問題ないかもしれない。

Automator
先日の基調講演では省略されたが、オレが気になっていたのが Automator という機能。 Apple は以前から作業の自動化のために AppleScript というテクノロジを用意していたが、本格的に動かすためには簡単なプログラミング言語を覚える必要があったためイマイチ普及しなかった。

Automator はその欠点を克服すべく開発されたようで、ワークフローと呼ばれる自動化作業を作成する画面がとても面白い。 対応するアプリーケーションを選び、そのアプリケーションが持つアクションを選び、そのオプションを指定するという作業を繰り返していく。 プログラミング的な要素は極力排除され、作業を順に並べるような形で編集する様子はとてもストレートだ。 プログラマーからするとオブジェクト指向とはコレ! という感じだし、実はこのワークフローの作成の流れは英語の文法に沿っているのも興味深い。 (このムービーの場合、Safari gets image URLs from website. Safari downloads these URLs into Picture folder. Finder creates archive of them as wedding_photos.zip. と英語にすることができる。)

ここで、また問題なのだが説明員は Automator は AppleScript とも別のテクノロジで、対応するためには、またも 3rd Party の対応が必要となると言っていた (Webサイトの情報ではAppleScript でアクションを追加できると書いてあるが…)。 こちらもどれくらい対応されるか気になるところだ。 そして、上で褒めたワークフローの作成にも問題はある。 それはやりたいと思ったタスクを細かく分解する思考だ。 たとえば、このページの「画像を全部保存して zip したい」という目標に対し、ワークフローでは「画像URLの抽出」、「抽出したURLのダウンロード」、「ファイルのzip」 というさらに細かい3つのタスクに分解しなければならない。 これは目には見えないがプログラミングに必要とされる重要な技術で慣れない人には大変かもしれない。

Dashboard
もう基調講演などでやっている通り、カレンダーや時計など、ちょっと見たいときにこういうのがあるととても便利。 ウィジットと呼ばれるパーツを裏返すと設定画面が出てくるところなんかはちょっと Project Looking Glass っぽい。 HTML/JavaScript で書かれていて、サイズも小さくメモリもそんなに消費しないと言っていたがほんとうだろうか?

さて、このTiger。 オレのような2,3年前にMacを買ったユーザにとってみるとアップグレードをしてスピードが遅くなるのではという心配がある。 そこで、説明員に「Tiger は Panther や Jaguar と比べて早い?」 と聞くと 「Way faster (ずっと早い)」 という回答が返ってきた。 自分のは一番初期の Flat Panel iMac だけどそれでも? と聞いても 「yes (そうだ)」という自信満々の回答。 別の説明員に聞いても、「ベンチマークテストでは遅くなる部分もあるかもしれないが、オーバーオールでは早くなる」という答えが。 これは期待できるか?

ただ、そのあと、Apple は常にパフォーマンスを意識した製品作りをしているとか、画面に表示されるエフェクトはグラフィックカードにやらせるからCPUは余裕があるという答が二人から返ってきたので、この辺の回答はマニュアル化されているだけなのかもしれない。

Mac OS X 10.4 Tiger は 2005年前半の発売予定(ということは6月だろう)。 成功するか失敗するかは Apple ではなく、3rd Party やユーザが実際使ってみることで决まりそうだ。 みなさんはどんな印象?


Macworld Expo SF 2005 観覧記 その2 – iPod Shuffle 編

展示場に入り、Apple ブースへ向かうとまず迎えてくれるのが上からぶらさげられたたくさんの iPod Shuffle。 ただ少し高い位置にあったので、身長175cmのオレでも操作しづらかった。

手に持ってみるとこんな感じ。 小さいと言えば小さいが、基調講演やウェブサイトで小さい小さいと言われていたので、実物を見ると「あれ、意外に横幅がある」と感じたのが第一印象だ。 しかし、触ってみると、再生、一時停止ボタンとその周りのコントローラが指で認識でき、確実に操作できたので、これぐらいの横幅は必要なのだろう。 ただ、再生ボタンやスキップを押してもレスポンスが悪かったと感じたのだが気のせいだろうか…。


iBook の USB ポートに挿したときの写真。 意外に大きく見えたのはオレだけ?

さて、今年のAppleブースの係員のユニフォームは iPod Shuffle のTシャツ。
背中には写真のような文章が書かれていた。 Shuffle のコンセプトや重要性を売り込もうとがんばっているのだろうか。 うがった見方をすれば Apple としても Shuffle が一般の人に受け入れられるか心配なのかもしれない。

日本語にするとこんな感じ。

なぜ シャッフル?
ときにはいろいろ混ぜ合わせてみた方がいいときがある。 iPod shuffle を使うことで、あなたの音楽は二度と同じものにはならない。 iPod shuffle はどうやってプレイする曲を見つける? あなたの心を読む? それともあなたの今のムードを読む? 曲をロード。 身につけ。 どうなるか見てみよう。
240曲、100万のいろんな再生方法

Apple はシャッフルばかりを宣伝しているが、新しく買ったCDはそのまま聴きたいといった場合もある。 そういう場合にも対応しているのか疑問だったが、Apple ブースのプレゼンテーションで紹介されていた。

iTunes の Autofill (オートフィル) の機能はそのもととなるプレイリストを選ぶことができる。 iPod Shuffle へ入れたい曲を限定したい場合は、その曲だけを含んだプレイリストを作成し、Autofill のソースに選択すればOK。 (その右にある Choose Songs Randomely も外しておく必要もあるだろう)

iPod の登場のおかげで、自分がもっている全ての曲を持ち歩き好きなときに、好きな曲を聴くことができるようになったが、 iPod Shuffle はドライブや、通学、出勤前などに今日はどんな曲を聴こうかとカセットやCD, MDを選ぶ、もしくは iTunes で曲を選んで CD に焼いて聞くというこれまでにもあった楽しみもそのままに、シャッフルという新たな音楽の楽しみ方をもたらしてくれるという感じだ。 iPod までとはいかないが、ウォークマンの代わりにというようなデジタル音楽初心者にはもってこいのデバイスではないだろうか。


Macworld Expo SF 2005 観覧記 その1 – 会場、Mac mini 編

昨年に引きつづきブログにて Macworld Expo 観戦記 (写真はクリックで拡大)。 今年は基調講演にておもしろそうな新製品がたくさん発表されたこともあり、期待して会場へ。 先週からずっと雨が続いていたが晴天に恵まれたのはよかった。

昨年は会場が狭くなったと書いたが、今年はさらに狭くなった。

Macworld Expo は例年、ノースホールとサウスホールの2ホールを使って行われていたが、今年はノースホールには展示がなくなって食事スペースに(笑)。 ま、2つのホールに分けて空きスペースがいっぱいあるより1ホールにまとめてくれる方が見に行く側としてはラクでいいんだけど、午前中にサウスホールをまわり、さぁ午後はノースホールと思って行ってみたら拍子抜けだった…。

さて、注目のMac mini。 やはり小ささが目立つ。 Apple シネマディスプレイ、純正キーボードと組み合わせた状態はこんな感じ。 Apple ブースなだけに、Appleのアクセサリで統一したのだろうが、Mac mini のコンセプトであるすでにPCで使っているキーボードやマウスも使えるといったところもデモして欲しかった。


こうやって接続した様子を見ると、ACアダプタがちょっと邪魔な感じ。

オレの手と比較。 ほんとに小さく、まわりの見物客からも「Cool!」(かっこいい)という声が連発。

アルミを使った外観は$499とは思えない質感。

これだけ小さいと本体が熱くならないか心配だったが、ひととおりさわってみても特に熱いと感じたところはなかった。 Apple の Mac mini ページ – デザインにもあるようにファンを搭載している。 会場ではどれくらいファンの音がするかわからなくて、Apple の係員に聞いてみたが「静か」というだけで具体的なデシベル数までは聞けなかった。


底から少し上のところに吸気口があり

ファンを介して裏側から排気されているようだ。 ついでに接続されているケーブルの様子もどうぞ。

展示されていたのは G4 1.42GHz, メモリも1GB積んだ Mac mini の最上位のモデル。

Mac の主流は G5 へと移行しているが、G4 でもメモリがたくさんあるためか思った以上に快適。 最新の iLife ’05, iWork ’05 もサクサク動いていた。 Mac mini は外側からネジとか見えないので自分で増設というのが大変そう。 メモリのアップグレードは購入時にやったほうが良さそうだ。

あと、使ってみて驚いたのは、Mac mini の中にスピーカも組みこまれていること。もちろん、音はこもった感じでお世辞にもいい音とは言えないが買ってすぐにスピーカを用意しなくても最低限の音は期待できる。

というわけで、Mac mini 。 やはりこのコンパクトさと静かさはホームサーバとして良さそう。 来年には Mac mini をサーバにして、家庭用アプリケーションというような新しいジャンルのソフトとか出てきそうだ。

おまけ、ブースの横に立っていた Mac mini を持つ Apple の係員。 ペットボトルと比べるとこんな感じです。


ほんとにでた $500 Mac

Macworld Expo SF 2005 が始まった。 今年はいろんな製品の発表が予想されたが、その中にこの前出ないと予想していた $500 Mac があって驚いた。

iPod に iPod Mini があるなら Mac に ミニバージョンがあってもいいじゃないか。 ということで Mac mini と名付けられたこの$500 Mac のラインナップは次の2種類。

G4 1.25GHz, 256MB メモリ、 40GB HD で $499
G4 1.42GHz, 256MB メモリ、 80GB HD で $599

16.5cm四方 x 5cm高さの直方体で重さはデスクトップなのに 1.3kg ととっても「ミニ」だ。 G4 Cube をさらにコンパクトにして再登場させたという感じかもしれない。 見た目はリーク写真と同じではなかったが、けっこう似ている。 ただホームサーバとなるための特別な機能をもっているわけではなく普通のMacだ。

けど質感やコンパクトさなど、リーク写真をはるかに上回る出来栄えではないだろうか。 キーボードもマウスも入っていないため、パッケージもものすごく小さく、買ってすぐ持って帰れそうなお手軽感もいい。値段を下げているところをこういう形でメリットにしてしまうとはおそるべし Apple。 ここまで形に特徴があると $500 Mac 否定派だったオレとしても、いい意味で期待を裏切られたという感じがしてうれしい。

この Mac mini。本体以外はWindowsのモノでも使えるようにしたことからも、Mac を使ってみたかったけど高いからと思って控えていた人というのがターゲットのようだが、 既存のユーザでも Tiger へのアップグレード ($130ぐらい) と iLife ’05 のアップグレード ($80ぐらい) で $210 払うことを考えると、Tiger の発売まで待って $499 で新しいソフトと 新しいハードウェアが手に入るならそれもアリと考える人も出てきそうだ。

価格面では、最近アメリカでは eMachines(Gateway) や Compaq のデスクトップPCが $299 という値段で売られたりしているので、ずば抜けて安いというわけではないが、あの形と値段の絶妙さでこういった安売りPCにも対抗できそうな気がする。

また、オレのようにMacをお手軽サーバのように使っていた人にももってこいではないだろうか。 コンパクトで静かそうだし、Unixベースなのに運用は比較的簡単というメリットもある。 テレビに繋ぐアダプタもあるので、その気になれば Mac にビデオキャプチャボックスを繋げてハードディスクレコーダ、ビデオサーバとしても使えそうだし。 まだ、決め手に欠ける気もするがリビング進出の様子見としていいマシンになるかもしれない。

というわけで、明日会場へ見に行ってきます。 またレポート書くと思うのでお楽しみに。


Newton エミュレータ

随分前に Apple から見放されたが、オレはいまだに、これまででイチバンのPDAだと思う Newton デバイス。 Newton テクノロジーがエミュレータで復活 で紹介したエミュレータの開発途中版が公開された。 開発サイトはこちら

そして、うちの iMac (15′ Flat Panel, G4 700MHz, Mac OS X 10.2) で動かしてみた。 ROMを吸い上げる必要があったので久々に Mac OS 9 にして、Newton との通信とかをセットアップしたらなつかしかった…。

その結果。 ジャーン。


(画面はクリックで拡大する)

もう感動ですよ。

もう3年ほど前のMac なのでCPUパワーがたりないためか、Mac OS X が 10.2 で X11 のソフトが古いためかわからないが、ペンイベント(特に、ペンの移動)をうまく拾わなかったり、音が途切れ途切れになってしまうといった問題は発生したが、画面は問題なく表示され、ボタンを押すといったことはできた。

このエミュレータはPOSIX準拠のコードで書かれていて、グラフィックまわりは X Window を使っている。 つまり、Linux PDA と呼ばれている現在の PDA 上でこのエミュレータを動かすことで新しい Newton デバイスを作りだすことが可能になるわけだ。 そして、このエミュレータの開発によって、これまでわからなかった Newton デバイスの内部仕様も解析でき、新たなハードウェア用のドライバの開発なども進めることができる。 エミュレータはまだまだプレビュー版だが、この初期段階の出来からするともの凄く期待できそうだ。

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iHome – これが $500 Mac?

The iHome? – Engadget – www.engadget.com
Is this the headless $500 Mac we’ve been hearing about?
(これが我々が聞いていた $500 Mac なのか?)

Engadget.com から。 来週から始まる Macworld Expo SF で発売されるのではないかと噂されている $500 のモニタなしの Mac 。 流出写真のような写真が数点掲示されているので上のリンクを辿ってぜひ見てみて欲しい。

PSX のような筐体に iHome と書かれたそのデバイスはクールで、こんな製品が $500 で売られたらオレもぐらっときてしまいそうだ。 しかし、コメントを見ていくと残念ながら、この写真はFake(偽物) のようだ。 理由としては

  • Media Centre の Centre というスペルはイギリス式のスペルで(アメリカでは Centerというスペル)、アメリカの会社である Apple がわざわざこうする理由はみつからない

  • iHome は既に別の会社によって登録されている

  • 電源がこれまでのApple製品にないACアダプタ方式になっている

といったものらしい。 少し前に、Sun のスコットマクニーリが合成写真にひっかかってしまったというニュースが流れたが、最近の写真加工技術おそるべし。

オレは残念ながら $500 Mac はないと思う。 そこまで安くすると iPod の価格帯とも重なってしまい(iPod Photo は $499 と $599)、 iPod が割高に割高に感じてしまう。 もともと生産メーカを豊富にもつPC陣営との価格勝負を避けようということで、デザインやきれいな液晶などで差別化をし高級感を出すというポジションにシフトした経緯があるので、あえて低価格路線に再び戻る必要もないと思う。 唯一の可能性は、この iHome のようにメディアサーバといった特殊用途向けの Mac (でももうこれは Mac じゃないな…) かと思うが、デジタルハブを捨ててサーバになるほどまだ明確なポジションがなく時期尚早な感がある。

と、書いていながらもこの予想がハズレるぐらい面白い製品を Apple が出してくれたらという期待も持っている。 さて、どうなるか来週が楽しみ。


Gambas 1.0 が Linux 開発を便利にする

Slashdot | Free IDE Gambas Reaches 1.0
Gambas has now hit 1.0 and looks promising as GNU/Linux’s answer to Visual Basic. Now, if it ran in Windows too, it would truly crush VB for database applications.
(Gambas (ガンバス)が 1.0 になり、 Visual Basic に対する GNU/Linux の アンサー になりつつある。 もし、このソフトがWindowsでも動けば、データベースアプリケーションとしてのVBをやっつけてしまうかもしれない)

Slashdot.org から。 Linux プラットホーム上で動作する Basic 言語によるフリーな開発環境 Gambas (ガンバス) が バージョン1.0 になった。このソフトの存在は今まで知らなかったけど、試してみたらちゃんと動くし(笑)、簡単だったので感動した。 (ただし、今オレが使っている Gentoo Linux では 1.00 がまだなかったので、試したのは 0.99 という1つ前のバージョン。)

gambas というコマンドで IDEを起動すると Visual Basic を意識したような画面が表れる。 なんと、このIDEそのものも Gambas で書かれている。しかし、動作は軽快でメモリもたいして使っている様子はない。


Gambas の IDE

GUI はフォーム上にいろいろなコンポーネントを配置し、プロパティエディタ及びイベントをハンドリングするためのコードを書くことで動作を定義していく。 このあたりは VB とほぼ同じだ。

Project ウインドウ の Run ボタンを押せば、即座に実行する。 GUI は Qt ベースになっていて、Qt ライブラリの設定さえ正しくしておけば、日本語も問題なく表示することができる。 機能は コンポーネントと呼ばれるライブラリ (シェアードライブラリ) を追加することで拡張することができるため、将来的には Gtk+ なども対応することが可能らしい。


IDE の中からアプリケーションをRunしたところ

Run中にポーズを押すとデバッグモードに入るが Step Into とかが見つからなかったり、Watch がうまく機能しなかったりと、ちょっと使いにくく感じた。 このヘンはおいおい良くなっていくだろう。

IDEのメニューから Project -> Make executable.. を選ぶと実行ファイルを作成することができる。 しかし、この実行ファイルはシェルスクリプトのような形になっていて、実行するためにはインタープリタである gbx というアプリケーションが必要になる (gbx は gambas に付属してくる)。

 
スタンドアローンアプリケーションを実行したところ

以前から 商用の開発ツールである REALbasic がクロスコンパイルによって Linux 用のバイナリを生成することが可能だったが、Linux 上で動く無料のツールが出てきた意味は大きい。

こういったツールによって、これまではコマンドラインしかなかったツールにGUIを付けられたり、簡単なツールを Gambas で書いたりと、見栄えのいいアプリケーションに不足していた Linux の環境を活気付けることになりそうだ。

ちなみに、Gambas はスペイン語で海老のこと。 作者が プログラミング言語にはよく動物の名前が付いていることと、単語の中に BASic が入っていることでこの Basic 言語の名前にいいと決めたんだそうだ。


PSPが切り拓くか? 携帯ビデオプレーヤ

ついに発売された「PSP」のAV機能と性能を検証
PSPでは、ゲームのデータもメモリースティックDuoにセーブするというものの、ゲームのセーブデータのみであれば512MBも必要がない。512MBのメモリが売れるという現象は、PSPがAVビューワとしても期待されていることを表しているのだろう。

日本で先日発売された PSP。 アメリカでは何と来年3月までおあずけだそうな。 アメリカのクリスマス商戦を逃してしまうのは痛いが、日本でも品薄らしいからアメリカまでとても手が回らないというところか、それとも今たくさん売っても赤字になるだけだから、できるだけ出荷を押さえながらブームの維持と次のロットやアメリカ販売分にはさらなるコストダウンを図ろうとしているのだろうか…。

そんな PSP は Nintendo DS との携帯ゲーム機対決として注目されていたが、思った以上にAV機能も充実しているようだ。 そういえば、PSP は 21世紀のウォークマンというふれこみで発表されていたのだった。 MP3の再生に加え、ビデオ(mpeg4)をメモリースティックにコピーして観賞することもできるのはもともと期待していなかった分面白いかもしれない。 動画は Codec が少し特殊で、専用のツールを使わないといけないところが残念だが、できあがった映像はファイルサイズ(というかビットレート)の割にそこそこキレイだ (参考リンク)。

実は、アメリカで今年のクリスマス商戦に売り上げを伸ばしている商品の一つがポータブルDVD。値段が下がってきたのを追い風に、子供に与えると静かに観ていてくれるからとか、飛行機のフライトの間や空港での待ち時間に観るといった用途に使われて大人気なんだとか。

Apple は iPod で携帯音楽プレーヤ分野で大成功を収めているが、ビデオプレーヤに関しては以前から否定的なコメントを出している。 特にアメリカの車社会では、映像を携帯して観るという状況はそんなにないのは事実だが、小さな画面で映画を観るポータブルDVDが売れているといった要素もあるし、PSPの「がんばりました!」と言わんばかりの存在感のある液晶と、ゲーム+AV機能というパッケージングなら携帯ビデオ否定派でも「アリかも」と思ってしまう。

PS2 が DVDビデオの普及を促したように、PSPが携帯ビデオプレーヤとしての先鞭を切ってくれるのではないか。 Apple は追いかけるのか? それともあくまで音楽にこだわるのか? 2005年はこのあたり注目になりそうだ。


フリーな万国辞書

Slashdot | Universal Free Dictionary
The all free dictionaries project focuses on maintaining free dictionaries (now more than 90 with more than 3,300,000 translations).
(オールフリーディクショナリープロジェクトはフリーな辞書のメンテナンス(現在、3,300,000 翻訳を含む90種類以上の辞書がある)を中心に活動をしている。)

Slashdot の記事から。

アメリカで生活していると切っては離せない辞書。 オレも普段の生活では電子辞書、コンピュータの前ではオンライン版英辞郎のお世話になっている。 特にオンライン版英辞郎は実際に必要とされている英単語をボランティアの方が長年かけて蓄積した辞書なので、普通の辞書にはない単語も載っていてとても役にたっている。

このオンライン版英辞郎の唯一の問題は辞書データを勝手に使いまわしたり、alc.co.jp のトップページ以外からのアクセスが許されていないこと。 ブックマークレットで簡単に検索したり、過去に検索した単語を覚えさせられるように、自分でスクリプトを書いてアクセスすることはできないのがもったいないと思っていた。

そんななか、このAll Free Dictionary (オールフリーディクショナリ)プロジェクトを知ってグッときている。 単語や翻訳は自由に追加でき、1つの言語から、複数の言語への翻訳も追加されていくことで世界中で使える辞書を目指している。

しかも辞書はGPLのようなライセンス(どのライセンスかはまだ未定のようだ)でフリーに利用することができるらしい。 まだ立ち上がったばかりでプロジェクトとしての方針が固まっていないところもあるようだが、辞書の充実とともに、ぜひSOAPやXML-RPCのようなインタフェースを用意していろんな使い方ができるようにしてもらいたい。

Slashdot のコメントの中でも触れられているが、他にもフリーな百科事典であるWikipedia の辞書版である Wikitionary (日本語版) というプロジェクトもあるようだ。 ただ、Wiki というスタイルに固執しているためか、百科事典のなかの単語の部分だけ抜き出しましたという形になっていて少し見にくい(使いにくい)ように思えるのがちょっと気になった。

どちらのプロジェクトにしても本格的に使えるようになるまではまだ数年はかかると思うが、個人的に単語の登録などで貢献しつつ注目していきたいと思う。


ブラウザ調査 – うちの場合 (2)

ITmediaニュース:Mozilla/Firefox、本当はどこまで伸びた?
昨年以来、Firefoxの勢いが高まっていることに疑問の余地はないとほとんどのWeb測定会社は話しているが、それがどの程度のものなのかは依然はっきりしていない。

今年のはじめにこのサイトに訪れる人のブラウザの種類を紹介してから、Firefox 1.0 の正式リリースや相も変わらないIE の脆弱性などがあり、ブラウザのシェア構成が変わってきてるらしい。 しかし、各調査会社の数字にバラつきがあるようなので、偽りのない事実ということでこのサイトの最近の数字を紹介。

最初のテーブルが約1年前の結果。 次のテーブルがここ1ヶ月ぐらいの結果だ。 前回と同じように、IEだけは細かくバージョンに分けたが、他のブラウザは全バージョンをまとめてカウントしている。

12/20/2003-1/5/2004 1/5/2004-1/17/2004
1 IE6.0 73.58% IE6.0 72.57%
2 IE5.0以前 7.69% IE5.0以前 6.99%
3 IE5.5 6.24% IE5.5 5.94%
4 Netscape 2.83% Safari 3.94%
5 Mozilla 2.49% Netscape 3.9%
6 Safari 2.41% Mozilla 3.23%
7 Opera 2.38% Opera 2.14%
11/08/2004-11/17/2004 11/17/2004-11/27/2004
1 IE6.0 72.49% IE6.0 68.07%
2 Mozilla 8.79% Mozilla 14.08%
3 IE5.0以前 4.57% IE5.0以前 4.29%
4 Safari 4.05% Netscape 4.8%
5 Netscape 3.85% Safari 4.02%
6 IE5.5 3.27% Opera 2.59%
7 Opera 2.46% IE5.5 1.87%

やはり Firefox 1.0 のリリース後、Mozilla のシェアがどんどん延びているのがわかる。 前回のIEトップ3独占に比べると大躍進。 全体の流れとしては調査結果と同じ感じで、Mozillaのシェアが10%を越え、その分IEのシェアが減ったと言えるだろう。

そして、 Netscape Navigator 4.0 も1.0%前後という根強い人気も相変わらずだった(笑)。

さて、来年はどうなっているだろうか。