なぜ、これだけ売れたかというと、“ゆるい”著作権管理というのもあるが、日本ではCDのレンタルや借りたCDからのMDへのダビングなどが多い。逆に言うとパッケージにこだわらないので、音楽配信の芽はあると思う。

売れた理由に関してイマイチわからない書きかたになっているが、”ゆるい”著作権管理による、ユーザの所有欲を満たしたことがイチバンの理由だろう。 日本のレンタルシステムも普及できたのは、コピーしたカセットテープ/MD/CD は、その後、自分のモノとしてほぼ自由に使えたから普及したと考えるのが妥当だと思う。

エニーミュージックは、すぐ海賊行為に使われる PCというプラットホームを避けた音楽配信システムを構築したい音楽業界側と、新しいデバイスを作って売りたいメーカの思わくが一致して構築されたシステムだ。 「著作権保護」と「家電だから簡単」だという売り文句のなかには、ユーザのためという気持ちは全然入っていないだろう。

MDが全盛でCD-R があまり一般的ではなかった5年以上前に立ち上げ、普及させていたらもうちょっといいシステムに見えていただろうが、CDはコピーできる(=音楽はコピーできる)という認識が一般的になった今となっては MD や メモリースティック など、対応したデバイスにしか使えないというのは、ただの制限でしかない。 最低でも、CCCD へならどれだけでもコピーできますぐらいの「ゆるさ」は欲しい。

著作権をもちだして、保護するために仕方がないというのは正しいことだとは思うが、それは業界側の論理で、ユーザにしてみたらこのシステムは単に「使えない」と判断され支持されないだけだ。 業界は早くそれに気づいて、「ゆるい著作権管理」を提供できるように変更しないと、すぐに失敗すると思う。 ま、その方が iTunes Music Store の日本版が早く提供できるようになっていいのかもしれないが。