フォールズは2カ月毎に新しい楽曲をEPとしてリリースし、最後にそれをまとめたアルバムをリリースする。このEPはiTunes Music Storeを通したダウンロードのみで入手できる。今年は5曲入りEPが3枚リリースされ、最初のEPであるSpeed Graphicは発売済み。
Ben Folds は個人的に今イチバン好きなシンガーソングライター。 Ben Folds Five のファーストアルバムを偶然CDショップで聞いて衝動買いして以来のファンだ。 SFにもよく訪ずれるのでこの1年で2回ライブにも行っている。
Ben Folds は数年前の Napster 全盛だった時代に、数少ない賛成派の一人だった。 彼の今回の行動は既存の音楽セールスに対する彼なりの返答だと思う。 公式サイト に掲載されているコメントにもこんなことが書いてある。
quietly releasing my music as EP’s allow me to get it out there as i finish it. with a minimum of hype. it’s for people who buy my music anyway. it won’t be sold in the big ass chains, because that puts the price up and starts the big ass machinery – press, radio etc. then i have to pose naked at the piano, and really, i’m not a piece of meat, you know. the music will be available at gigs, and online, and on vinyl in some smaller stores.
(製作が終ってすぐに最低限の宣伝でこっそりとEPとしてリリースすることを許して欲しい。 これは僕の音楽を買ってくれる人のためなんだ。 このEPはいつもの流通では売られない。 そうすると価格はあがり、マスコミやラジオなんかで機械のようになんなきゃいけないから。 ピアノの前で裸になってポーズをしなきゃいけなったり、マジで、僕は肉じゃないんだし。 EPは音楽はギグの会場やオンライン、そして小さなストアで買えるようにする。)
というわけで、既存の売り方ではない新しい方法にトライしているようだ。 Napster の時は具体的なアクションがあったわけではなく、業界が考えを変えてくれるきっかけになればという感じだったんだけど、今回はそこそこうまくいくのではないだろうか。 実際、iTunes Music Store の売り上げでは今日の段階でアルバム部門の1位になっている。 (アルバムとして扱うのには疑問もあるが…)
そうそう。 ZDNet の記事には「iTunes Music Storeを通したダウンロードのみで入手できる。」と書いてあるけど、これはウソ。 他でも買えるし、オンラインサイトから 試聴やCDをオーダーして手に入れることができる。
EPの方は、前作のギターも含めたバンド形態から、Piano, Bass, Drum というBen Folds Five 時代のシンプルな構成へ戻っている。 きれいなメロディラインは健在だけど、きれいにまとまりすぎて物足りない気がする。 曲数が少ないというのもあるのかな? Ben Folds Five 時代の雑だけど3種類の楽器いいバランスをとっていたものと比べると、ピアノ中心、他の楽器はあくまでサポートに徹しているようになっているからか。 これは序章でこれからはじけてくれるのか? どんな展開を見せてくれるか、次作が楽しみ。
はっ、そうか。 これで完結じゃない。 これからまだ2作続くんだ。
こういう売り方はテレビドラマの続きや、映画の続編のように、待つ楽しみが増えるということで面白い売りかたなのかもしれない。 いわば一つのアルバムを数ヶ月に渡って楽しめるという感じ。これこそEP革命か。 昔のLPやテープのA面、B面にも近いかも。 あとからまとめてCDでも売るっていってるんで人によってはそれを待ってもいいわけだし。 値段的には EP3枚 と CD1枚 がどうなるか気になるところだけど、うまくいくとアルバム製作の方法が変わるぐらいすごいことになるかもしれない。
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