Month: February 2008

市長さんとオスカー

先日24日、アカデミー賞が発表された。 80回目という記念に加え、脚本家組合のストの影響で開催が危ぶまれていたこともあり注目を浴びた授賞式だったが。 オスカーを受賞した作品のひとつが個人的にほんのちょっとかかわりがあることがわかった。

長編アニメ部門でオスカーを受賞したのが3D長編アニメでおなじみのピクサーの “Ratatouille” (邦題: レミーのおいしいレストラン) という作品。 ピクサーという会社は実はハリウッドじゃなく、サンフランシスコ郊外の Emeryville というところに本社があるこのあたりの地元企業だ。


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そのため関係者たちが近くにん住んでいるわけだけど、オスカー受賞作品の “Ratatouille” のプロデューサーというのが、何とウチの住む San Carlos 市の市長さんだった。

市長のページ によると、現市長の Brad Lewis さんは19年以上、San Carlos 市に住み、2005年から Pixar の監督、プロデューサー職と兼務で San Carlos の市長を勤めているらしい。

わが街の市長さんがオスカー作品と深く関係していたなんて何だか素敵。 オスカーって日本にいたときは夢の賞という印象だったけど、アメリカでは「隣のおじさんの家にあった」なんてこともあるんだなぁと感じてしまった。 あたり前なんだけど、なんだかすごい。


スポーツゲームを巡る仁義なき戦い Part 2

Microsoft が Yahoo! に対し買収の話を持ちかけたのはもう日本でも有名だろう。 シリコンバレーにいても、まぁ特にウラ情報が手に入るというわけでもない。 この話は大手メディアにおまかせするとして、今日はもうひとつの買収の話。

先週、ゲーム会社の EA が Take Two というゲーム会社に対し買収のオファーを出した。

ん? EA と Take Two?
覚えている人はいるだろうか?

EA と セガ のスポーツゲームを巡る仁義なき戦い – アメリカでがんばりましょう

セガのスポーツゲーム部門を引き受ける Take-Two という会社は先日、2006年から MLB のゲームを製作する独占契約を結び、2K Sportsというブランドを立ち上げたようにスポーツゲームに力を入れようとしている会社とのこと。 今回の買収により、NBA 2K シリーズの継続などでシリーズの拡充を図ってくれることを期待できそうだ。 となると、またEA とぶつかる日も来そうだなぁ。

まさに、以前書いたスポーツゲームを巡る戦いの続きじゃないか。

今回は会社ごと買収ということで、Take Two の稼ぎ頭である Grand Theft Auto (グランド セフト オート) を自分たちのものにしたいというEAの思惑もあるが、スポーツゲームを巡る戦いの影響も少なからずあるだろう。

上のエントリは3年前に書いたものだけど、その間も EA と Take Two のスポーツゲームのリリース合戦は続いていた。 EA の方がいろんな種類のスポーツゲームを提供しているし、稼ぎ頭の NFL (アメフト) のゲームをEAが独占して提供していたので、シェアや売り上げはEA の方が勝っているが、Take Two の方もEAと比べると評判のよいスポーツゲームを提供しある程度のシェアを保っていたというのが現在の状況。

ゲーム関連の売り上げ数を提供してくれるこちらのサイトによれば、今年の NBA ゲーム。 NBA Live 08 (EA) と NBA 2k8 (Take Two) は、PS2版は Live 08 の圧勝にも関わらず、PS3 版で僅差、XBOX360版では逆に 2k8 の方が大差を付けて上回るという面白い結果が見られる。

nba-ps2.jpgPS2版の比較 (青がEA, 赤がTake Two)

nba-x360.jpgXBOX 360版の比較 (青がEA, 赤がTake Two)

EA は今回の買収のためにこんなサイト を用意した。 このサイトの FAQ の中には “Would you kill 2K Sports? (2K スポーツを終了するつもり?)” という項目もあり “Any integration starts with …. (どんな統合作業も…)” と、どちらかに統合することを挙げている。

とは言っても、 EA のゲームの方がシェアが高いだけに、同じスポーツゲームを両者が作っていた場合、2Kの方を残すという選択はありえない。

ライバル会社を買って、その製品を潰してしまえばスポーツ部門の売り上げも上がる。 うまくいけば優秀な開発者たちを自分たちの製品群に組みこむことができる。 EA が Take Two を欲しがるのにはそんな理由もあるだろう。 オレ自身も 2Kスポーツの方が好きだっただけに、この動きはとても残念。

そして、このようなちょっと強引な業界再編を目の当たりにすると、アメリカも不景気になってきたのかなぁと思ってしまう。


Macworld Expo 有料セッションのムービーが公開

Macworld と言えば新製品の発表の場という印象が強いが、会期中はさまざまなテーマでセッションと呼ばれるセミナーのようなものが開催される。 セッションに参加するにはそれ用の有料パスが必要なのだが、終了後1ヶ月してその内容のムービーが無料で公開されていた。

公開先のURLはコチラ。


www.macworldencore.com

公開されているのは、スライドやデモ画面に講演者の声が被せてある Quicktime ムービー。 セッションは短いもので1時間、中には6 時間を越えるものも(1時間ぐらいで分割されている)まであって、どれも見応えがある。

macworldencore.com でも feature presentation として紹介されている iPhone Super というセッションは iPhone ユーザーに限らず iPod touch ユーザにも役にたちそうな内容が紹介されている。

shot.jpg

たとえば Keyboard 入力のところでは、 記号入力の際、”123″ または “.?123” というキーを押し、キーボードを記号キーボードに変えてから、そのまま目的の記号まで指をスライドし、画面から離すとその記号が入力されアルファベットのキーボードに戻る機能(Tips) が紹介されている。

いつもいちいち記号キーを押してキーボードを切り替えるのがウザいなぁと思っていたオレには結構感動だった。 これって有名? これを知ると “123” キーの近くによく使う “.” (ドット) があるのもこの理由からなのかと思ってしまう (@ も近くに欲しかったけど)。

他にも DVDのリッピングや動画の変換方法、Jailbreak の紹介 (さすがにやり方までは紹介していない) など、Macworld でやっちゃっていいの? みたいなネタまで紹介している。

セッションは iPhone や iPod だけじゃなく Mac OS X 、Office、デジタルフォト などいろんなテーマに渡って用意されている。 残念ながらすべて英語、日本語字幕もないんだけど、興味のある内容なら英語の勉強がてら見てみると結構面白いんじゃないだろうか。


NBA オールスター スラムダンクコンテスト 2008

NBAのオールスターの試合は今日これから行われるが、その前夜祭的なイベントとして昨日はドリブルやパスなどのスキルを競うコンテストや、3ポイントシュートのコンテスト、そしてスラムダンクコンテストが開かれた。

自らの手でボールをバスケのゴールに叩き込むスラムダンクはNBAと言わずバスケの試合において圧倒的な存在感を示すプレイだろう。 ただボールを叩きこむだけでなく、体をスピンさせてからダンクする360、ジャンプしたあとにボールを股の間に通してからダンクする Through-the-leg というように、これまでの歴史でいろんなテクニックが開発されてきた。

ダンクコンテストはそんなダンクテクを競うのだが…、見るほうも目が肥えてきてるし、そうそう新しいワザが完成するわけでもないので最近は盛り上りに欠けていたのも事実。

ところが、昨日テレビ中継で見たダンクコンテストは予想以上に面白かった。 優勝したの Orlando Magic の Dwight Howard (ドワイト ハワード)。

中継の中で、観客や解説がウケてたのは彼のこのダンク。

いわゆる普通のダンクなんだけど、スーパーマンがやってるように見せたその演出力の勝利というところだろうか。 事前から「やるらしい」という噂が流れていたので、お約束感もあるが思った以上にハマっていたのがナイス。

オレがウケたのが、昨年のダンクコンテストの覇者 Gerald Green (ジェラルド グリーン) のこのダンク。

惜しいのはリプレイの映像を見ないと何やってるかわからなかったことだろうか。 おかげで会場の反応がイマイチだった。

あと、Dwight Howard のジャンプ途中に左手でバックボードにボールを当てて、右手で受けとりダンクを決めるってのも良かった。 残念ながらこの映像は YouTube にはなかったんだけど、 nba.com のコチラのページのダンクコンテストのまとめ映像で見られる(要 WindowsMedia)。

Howard のダンクは技のキレもあるが、見ていてなんか楽しい。 背の高い選手はジャンプ力がいらないのでどうしても派手さに欠けるところがあるのだが、Howard は逆に自分の大きな体を魅せるためのダンクを考え実戦したところがすごい。

今回の Howard の優勝で 来年以降のダンクコンテストは技+演出力の勝負になってしまうかも。 ま、最近のオールスターはお祭りイベントなんでこういうのでオッケーなんじゃないかと。


脚本家ストライキが終了、混乱は続く…

少し前に書いたアメリカのテレビ、映画脚本家組合のストライキが今週に入ってようやく決着がついた。 ハリウッド関係者たちは待っていましたどばかりに、仕事に戻る光景がニュースに流れていたのが印象深い。

争点だった、インターネット上で公開されたコンテンツの印税については

AFP: End to writers strike near as union leaders endorse deal

For content streamed free over the web, writers will get a fixed payment of 1,200 dollars per year for one-hour webcasts for the first two years, followed by two percent of any revenues earned by the distributor in the third year.
ウェブ上で無料でストリーミングされるコンテンツに関しては、脚本家は1時間の番組で最初の2年間は $1,200 /年 、その後は配信によるさまざまな収入の2%を受けとる。

一番稼げると思える最初の2年間の収入が $2,400 、 $120,000 の2%と見ると とちょっと少ない気もするが、ヒットしてもしなくてもこの数字が保証される感じなのと、3年め以降でも 2% (要求では 2.5%) をキープできたという意味では脚本家組合の勝利と言えるかもしれない。

これにより、今月の24日に行われる予定だったアカデミー賞の授賞式は予定どおり行われることが早速決定となり、関係者たちはほっと一息となった。

ほっと一息つけないのはテレビドラマの関係者。 アメリカのテレビ業界は6月以降に夏休みが始まることで家を空ける人が増え、視聴率が落ちるという事実があり、ほとんどの番組は5月中に一区切り付けるようになっている。 (第Xシーズンなどと言われるシーズンの区切りが5月ということ)

今から脚本を書き(まぁ、スト中にいくらか書き貯めていたとは思うが)、製作を再開させても放送できるのは4-8話ぐらいが限界になってしまう。 1話完結のコメディものは比較的再開も早いが、ストーリーものは中途半端にできないから、再開は秋から、来年から、やっぱり打ち切り、といった発表がされている

日本でも人気の「24」は今年は放送されないことが決定。 日本でも今年は新作(シーズン7)がレンタルされたりしないですよ! ただ、この時期に続きは来年と言われたところでそこまでブームが続くかどうかは疑問じゃないかな。

ストは終わり、得るものもあったけど失なったものも多い。 まだまだこれまで通りの状態に戻るには時間がかかりそう。


Ron Paul (ロンポール)という泡沫候補がインターネットで大人気

オレが今年の大統領選挙に興味を持ったひとつのきっかけが Ron Paul (ロン ポール) という共和党 (Republican) 推薦の大統領候補。 日本ではもちろん、アメリカの大手メディアでもあまりとりあげられることはないのだが、DiggYouTube をはじめとしたインターネット上ではものすごい人気なのだ。

ronpaul.jpg Ron Paul 候補は現在 72 歳。 右の写真のように、見た目も普通のお爺さん。 ところがインターネットを利用した献金運動で1日に600万ドル集めるという記録を立てたり、オンラインアンケートでは1位になったりとインターネット上では圧倒的な指示を受けている。

予算がたくさんあるとは言えないい Ron Paul 陣営は Web 2.0 と呼ばれるようなネットサービスを積極的に利用して人気を広げたというのもあるが、この活動の原動力になっているのはどうも彼の政策にあるような気がする。

Ron Paul の主張を端的にまとめると、

  • 「税金をなくす」
  • 「政府に余計な金を使わせない」
  • 「戦争しない」

というもの。 これって、誰もが実現して欲しいと思うことじゃない? 普段はなぜか語られないこういった真っ当な主張を指示する、そしてそれを無視しようとするテレビや新聞などのオールドメディアに反抗するといった状況がインターネットの住民たちにウケているようなのだ。

Ron Paul は Libertarian (リバタリアン – 自由論者) と呼ばれ、個人の自由を重視し、政府の役割を少なくするという考えが根底にある。 その流れで政府の縮小、外交も他国に不干渉 といった政策をもう30年近く一貫して掲げているらしい。 このことからも彼の主張は人気取りというわけではなく、(正しいかどうかは別として) 本気でそう考えていることがわかる。

残念ながら現実の結果は Ron Paul が獲得した代議員数が 16 。 (1位の John McCain は 812) まだリタイアしていないようだが、大統領候補になるのはまず無理だろう。 しかし、今回の選挙運動の様子は次回以降に大きな影響を与えると思う。

その昔、テレビ討論が始まったときに、政策とは直接関係ない「テレビ映り」が大統領選挙に影響を与えたように、今後選挙にインターネットが積極的に使われ、また利用者も増えてくると、Ron Paul のように 「真っ当でわかりやすいキーワード」、「実直であること」 といったこれまでとはまた違ったポイントが大きな鍵になってくるんじゃないだろうか。

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スーパーチューズデーが終わるも、どちらも候補者内定まではいかず

ちょっと遅れたけど、この前のスーパーチューズデーの結果について少し。

前回のエントリでは、これで両党とも候補者が内定するだろうなんて書いてたけど、結果としては民主党は Clinton (クリントン) が 1033 と Obama (オバマ) が 937 で、その差 100 程度の接戦、共和党が McCain (マケイン) が714 で 2位の Romney に 400 以上の差を付けるも過半数には至らずという結果になった。 (その後、Romney はリタイア。 3位の Hackabee 211 との戦いとなった)

共和党の McCain はもう99%決まりなんだろうが、逆に報道が民主党の候補者争いに集中してしまい、注目されにくくなってしまうのが皮肉なところだろうか。

民主党は Clinton がたくさんの代議員数を持つカリフォルニア州、ニューヨーク州やニュージャージー州 で勝利。 代議員数では勝ったが、州の勝利数では Obama に負けている。 この結果について、Clinton は今後もっと苦戦すると予想する人もいる。

日々の報道から受ける印象としては、勢いに乗る Obama と必死に逃げ切ろうとする Clinton という感じ。

候補者指名をめぐる争いはこのあと、明日9日の土曜日から再開される。 民主党の次の山場は 2/19 に行われる 228代議員数を持つテキサス州とのこと。 この戦いは最後までもつれるのだろうか。


スーパーチューズデー

2008年も、あっと言う間に1月が過ぎ2月に。 おっと、今年の2月は29日まである。 うるう年か。 ということはオリンピックがあって…大統領選挙が行われる年だ。

オレがアメリカに来たのが2000年の11月。 ブッシュとゴアの大統領選挙の投票が終われた直後で、結果が僅差だったフロリダ州で再集計 (Recount) についてのニュースがしばらく流れていたのは今でも記憶に残っている。

この時当選したブッシュは、2004年にも再選を果たし現在も大統領の座にいる。 しかし、アメリカ大統領は最大2期、8年までしかできないのでブッシュ大統領はこれでおしまい。 今年の大統領選挙に出馬することはできない。

現在は新しい候補者たちが大統領の椅子をめぐりしのぎを削っている状況。 選挙権は持ってないけどアメリカの選挙の感じもちょっとはわかってきたのでメモがてらちょっとまとめてみようと思う。

 

アメリカは共和党(Republican Party)と民主党(Democratic Party)の二党が中心となって政治を動かしている二大政党制。 大統領選挙に勝つためにはこの二党の公認を得るのが最低条件となっている。

各党の公認候補のを決めるのは7月(もしくは8月)の党大会だが、この党大会で大統領候補の選出のための投票に参加できるのが各州の代議員(Delegates) と呼ばれる人たちだけ。

その代議員も自分の好きな候補に投票できるわけではなく、予備選挙と呼ばれる各州ごとにおこなわれる選挙の結果(と、その州内で決められたルール)に従って投票する。

 

ここ数週間の間に、日本でも、マサチューセッツ州でヒラリーが勝った、フロリダ州でマケインが勝ったといったニュースが流れていると思うが、これはこの州ごとに行われる予備選挙の結果で、マサチューセッツ州の代議員は7月の党大会でヒラリーに投票することを決めたといった意味になる。

予備選挙のスケジュールは州によって自由に決められるが、選挙の重要性を高めるためにいろんな州がほとんど同時に予備選挙を行うようになっていった。 それがスーパーチューズデーと呼ばれる日で、今回は明日2/5 となっている。

ふぅ、やっとスーパーチューズデーにたどりついた…。

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