ITmedia Games:セガ、米スポーツゲーム開発子会社を売却
セガは1月25日、米国でスポーツゲーム「ESPN Videogames」を開発していた子会社Visual Concepts Entertainmentを米Take-Two Interactiveに売却すると発表した。
 セガは米国向けスポーツゲーム開発から事実上撤退、今後はTake-TwoがESPNシリーズを開発販売し、セガは日本を含むアジア地域でTake-Twoソフトの一部を受託販売する。

ガーン。

オレの好きな ESPN NBA 2K シリーズを販売していたセガが、その子会社で開発を請け負っている Visual Concept を手放し、スポーツゲーム開発から撤退してしまった。

新型PS2 を入手 のエントリの最後に、エレクトロニックアーツ (EA)社とセガのスポーツゲームに関する話を少し書いたが、すごい話になってきたのでまとめてみようと思う。

アメリカで一番人気のスポーツは NFL (アメフト)。

エレクトロニックアーツ (EA)社はそのアメフトを題材に超有名解説者 John Madden (ジョン マッデン)と組んで Madden NFL というゲームをリリース。 アメフトゲームの定番として定着し、スポーツゲームにおけるその基盤を作った。 その後、EA スポーツとして NBA(バスケ), NHL(アイスホッケー), MLB(メジャーリーグベースボール) といったスポーツゲームシリーズを展開しスポーツゲームと言えばEAと言われるような存在となった。

一方、セガはソフトの種類の少なかったドリームキャスト用のスポーツゲームということで、2K シリーズを自社で開発、販売しドリームキャストユーザに好評だったところからスタート。 ドリームキャストが生産中止になってからは2Kシリーズは PS2 や Xbox などに移植された。 その後はスポーツ専門のケーブルチャンネルである ESPN と提携し有名解説者の解説を入れたり、昨年発売された シリーズ6作目となる 2K5 シリーズは $19.99 という挑戦的な値段で発売するなどといった努力によって、スポーツゲームで40%のシェアを獲得するなどその存在感を増していった。

セガが好調になってくるのが気にいらないのが EA。

いろんなところで2Kシリーズの邪魔をしはじめた。

まず、アメフトを管理するNFLと、今後5年間 NFLのアメフトゲームを独占的に作る契約を締結。 これによって他のメーカはNFLのチームや選手を利用したゲームを作ることができなくなってしまった。 そして、NBAとも同じような独占契約を結ぼうとしていたという話も噂された (EAは否定しているという話もあるが…)。 結果としてはNBAは「EA との独占契約は市場を狭める可能性がある」ということでうまくいかなかったらしい。

EAは次に 2Kシリーズが提携している ESPN へ提携を提案し、なんと15年契約を結んでしまう。 これにより 2Kシリーズは ESPN の名前と、有名な解説者なども使えなくなってしまった。

こうした結果から、イチバンの稼ぎ頭であるアメフトのゲームが販売できなくなり、ESPNというメジャーブランドも使えなくなったことからセガはスポーツゲームからの撤退を発表したという流れのようだ。

セガのスポーツゲーム部門を引き受ける Take-Two という会社は先日、2006年から MLB のゲームを製作する独占契約を結び、2K Sportsというブランドを立ち上げたようにスポーツゲームに力を入れようとしている会社とのこと。 今回の買収により、NBA 2K シリーズの継続などでシリーズの拡充を図ってくれることを期待できそうだ。 となると、またEA とぶつかる日も来そうだなぁ。

それにしても、マイクロソフトといい、EA といい、アメリカの会社はなりふり構わずライバルを叩き潰してくるなぁ。 ビジネスとしては正しいのかもしれないが、ユーザから、はたまたエンジニアとして見ると、お互いが切磋琢磨してより良いゲームを作ってその質で勝負して欲しいなぁという気持でいっぱいだ。

参考:

Slashdot | ESPN And Electronic Arts Sign 15-Year Deal
“Electronic Arts has dealt another blow to rival Sega by signing a 15-year agreement with ESPN, giving the publisher exclusive video game rights to ESPN branded material.
(エレクトロニック アーツ社はライバルのセガをやっつけるため ESPN と、ESPN放送の資料を使ったビデオゲームを15年に渡って独占的に使用できる契約を結んだ)