Amazon Unbox というのはアメリカの amazon.com が昨年からサービスされている映画のダウンロード販売、およびレンタルサービス。 そして、TiVo はこのサイトでもたびたび登場しているアメリカではシェア1位のハードディスクレコーダー。

この2つを組み合わせ、Amazon Unbox で購入もしくはレンタルした映画を TiVo で直接見られるようにしたサービスがすごく便利で良かった。

まず、もともと Amazon Unbox の欠点だった映画の再生が専用のソフトをインストールしたPCのみだったのが解消された。 TiVo と組むことで再生にテレビおよび、ホームシアターシステムを使えるようになるのはうれしい。

そして、TiVo と組んだことで、映画を再生するまでの流れが随分簡単になったと思う。
Amazon.com 内の設定画面で、TiVo のアカウントとハードディスクレコーダーを登録したあと、映画をレンタルしようとすると、こんな感じになる。

  1. 普通の商品と同じように映画レンタル用のページに行く
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  2. “Rent now with 1-click” というボタンを押してレンタル開始。
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  3. 自宅の TiVo にビデオがダウンロードされる。
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ビデオオンデマンド的なサービスは専用の機械を用意して、その機械が提供する画面(UI)を通して映画を観るという流れがほとんどだった。 この方法では目的のビデオを探すのがメンドウだったり、映画の情報があまり無いため借りにくいという問題がある。

対して Amazon Unbox + TiVo では借りるまではブラウザを使って目的の映画を探すことができる。 Amazon の評価システムを参考にしてもいいし、必要なら imdb.com や別のサイトを見たりしてその映画が見る価値のあるモノなのか調べた上で映画を買ったり、レンタルできる。 これが、もう一つの、そして思わぬメリットだった。

気になるダウンロード時間だが、上で借りた The Devil Wears Parada (邦題: プラダを着た悪魔) 1時間49分の映画の場合、2.3GB 分のデータのダウンロードにおよそ2時間かかった(ケーブルインターネット、 4-6Mbps ぐらいの環境)。 ただ、TiVo はダウンロード途中でも見始めることができるので、その気になれば1時間30分ぐらいで再生を始めることも可能だろう。

再生がスタートされるまでちょっと時間がかかるのはこのシステムでは避けられない問題だが、たとえば会社でレンタルを開始しておき、家に帰ってから見るということもできるし、そんなに気にならなかった。

気になったのはAmazon Unbox の DRM というか制限。 レンタルした映画は TiVo に1ヶ月間保存可能で、1度再生を始めると24時間後に強制削除されてしまう。 映画を見ている最中に、電話がかかってきて外出しなきゃいけなくなったとか、いろんなことを考えていると、レンタルしたはいいが再生ボタンを押すまでに一大決心が必要だったりする。 「1週間の間は見放題」といった感じでもう少しゆるくしてくれると嬉しいんだけどなぁ。

ユーザは便利で使いやすいサービスが使える。 権利者からすると専用の機械を使うことで映画をコピーされる心配もない。 サービス業者からすれば、システム全てを構築するより、ファイルを転送する仕組みだけを考える方がラクだしコストもかからない。 全てがうまくまわった、まさに目から鱗のようなシステムじゃないだろうか。

一旦 PC/Mac を経由する Apple TV よりも権利者ウケが良さそうだし、レンタルというシステムは映画には合っていると思う。 日本のメーカも、どこかと組んでこの仕組みを取り入れられると次のハードディスクレコーダー商戦で勝てるんじゃないだろうか。