それは『共有できるものには金を払おうとしない』という、人の消費に対する
態度である。人が財布を開くときの動機は変化しなかった。
日刊デジタルクリエイターズ(デジクリ) というメールマガジンをかれこれ2,3年ほど講読している。 クリエイターと呼ばれる人から見た視点から現在のコンピュータテクノロジーなどが語られることが多く、コンピュータ屋のオレから見るとハッとすることや、新な発見をすることが多い。
上に紹介した記事(電子出版社は可能か)も、始めて読んだときハッとさせられた。
出てきては何度も失敗するコンテンツ配信サービス。 デジタルなデータは勝手にコピーされては困るのでプロテクトをかける = 購入者は私有できない。 という図式で考えるとうまくいかない理由もわかる。
今のところうまくいっている iTunes Music Store は、同じ曲を共有できるマシンは3台までだが、CDに焼いてしまえば自由に扱うことができるという、プロテクトと私有のしくみをバランスよく提供できたのでうまくいったのだろう。同じ曲がネットのアンダーグラウンドでは共有されているという事実もあるが、それは音楽を私有する意識がまったく無い一部の人が行っている行為ではないだろうか。 裏を返せば、最近の音楽業界がいかに音楽を濫造し、価値を落してしまったかを表していると思う。
そして、次の言葉も的を得ていると思った。
見えないものや、
手に取れないものだがお金を支払うというケースは、労働の対価であることが
ほとんどだ。デザインや情報の内容・質自体には、どんどん値段が付かなくな
っている一方、労働には確かな値付けがなされるようになってきている。
これを読んで、最近のBlogブームのことが頭に浮かんだ。
MovableType を作っている Six Apart 社が Movable Type を無料で配布しつつも、それを一括してホスティングするサービス(Typepad)を有料で提供し、いろんな会社が提携しているのは、セットアップ、運営の労働に対する対価を払っているからだろう。 そして、ユーザは無料で配布しているツールを自分で準備する労働の代わりに、各ホスティング会社のサービスを利用する。 MovableType を有料にして売っていたらここまで早い展開はできなかったのではないだろうか。 オンラインでソフトウェアを売る方法というのが確実に変わってきていると思う。
デジクリの記事は、電子出版は可能かという命題を軸にして、あと2,3回続くようなので次回以降も楽しみだ。
2004年3月30日 at 5:34 PM
ビットの経済的価値
アメリカでがんばりましょう: デジタルの価値 そして、次の言葉も的を得ていると思った。 [dgcr.com]デジクリバックナンバー 見えないものや、 手に取れないものだがお金を支払うというケースは、労働の対価であることが ほとんどだ。デザインや情報の内容・質自体には、・..