『ザ・グレイ・アルバム』とは、ビートルズの通称『ホワイト・アルバム』[正式なアルバム名は『ザ・ビートルズ』]とラッパーのジェイ・Zの『ザ・ブラック・アルバム』それぞれの音源を合わせてリミックスした作品だ。

ホワイトアルバムとブラックアルバムを足してグレイアルバム。

著作権の問題で販売差し止め、こんどはそれに怒ったファンが抗議活動としてアルバムを mp3 にしてオンラインで公開してさぁ大変という話。

はじめは、こんなふざけた内容になんでこんな盛り上がるんだろうと思っていたが、公開されているmp3を聴いて驚いた。 バックにビートルズの楽曲のRemix、それに重なるような Jay-Z の軽快なラップがうまく重なっていてカッコイイ。 ヒップホップは苦手という人も、ビートルズの曲に合わせて外人が何かしゃべっている程度に考えて聴くと入りやすいだろう。 正直ここまでいい出来だとは思わなかった。

さて、この抗議活動はちょっと方向違いの感があるが、人々はレコード会社に対する不満の何か吐け口を見つけようとしているところに、この事件が重なったという感じなのだろうか。 みんな適度な値段で音楽を自分の物にすることを望んでいる。 それに対し、レコード会社はミュージシャンの権利を楯に尋常でない対価を求めようとする。 このズレを直していかない限り、誰もが安易な違法ダウンロードへと流れてしまい取り返しのつかないことになってしまうだろう。

以前 Rolling Stones 紙に載った Steve Jobs のインタビューにも、Apple がiTunes Music Store を始めようとしたときにぶつかったレコード会社の古い体制を指摘していた。 その中でも、実際売れるかどうかわからないアーティストに多額の契約金を払い、博打をするといった収支体制はこのズレの原因の一つではないだろうか。今回のグレイアルバムの騒動を機に レコード会社側も何か考えをあらためてくれることを期待したい。

関連リンク:
Steve Jobs: The Rolling Stone Interview (英語)