“ちらかし” のサポートこそが未来のUI

英語の情報ということもあり、日本ではあまり話題になってないみたいだけど Mozilla と Adaptive Path が協力してできた Aurora (オーロラ) という新しいブラウザのコンセプトが興味深い。

4回に分けて発表されたコンセプト映像のうちドラマ部分をまとめたのがこちら


Aurora (complete video without commentary) from Adaptive Path on Vimeo.

まず、このビデオの中では OS の存在はまったく見えず、常にブラウザ(といっても、今使っているものから格段に進歩したシステム) が中心にいることに気付く。 このブラウザが扱うのはもはやファイルではなく、人、Webページ、データを同じレベルのもの(オブジェクト)として集約されている。

Aurora ではそのオブジェクトをこんな画面で管理している。

aurora.jpg

中央の一番大きなエリアには過去に見たオブジェクト全てが表示されている。 一番手前が現在見ているデータで、ブラウザがそれに関連した過去のデータをその周辺に配置するようになっている。 そして、奥にいくにつれて古いデータという風になっている。

現在でも Web ブラウズするときは、あるWebページを開き、そのページからリンクがはってあるページをタブや別ウインドウで開いて見ていったりする。 その考えと、履歴(ヒストリ)のブラウズを混ぜたような感じだ。 加えてこの見た目や動きがイイ。

どうやって関連データを見つけるかとか、そもそもデータの配置のロジックはどうなるんだ? など突っ込みどころはいっぱいあるのだが、データをフォルダなどを使って整理するのではなく、全部をフラットな状態でちらかしっぱなしにし、それをオーガナイズする方法を提供するというアプローチがすごく気にいった。

考えてみると、大量データの中から目的のデータをいかにして見つけるかというのは最近のUI (ユーザインタフェース)の1つの重要なテーマになってる気がする。

ファイル管理なんかはその際たる例で、これまでのフォルダを開きながらファイルを探して見つけるという考え方に限界が見えはじめ、Mac OS X の Spotlight や Windows Vista のクイック検索といったUI で直接目的のファイルにアクセスするといった方法が提供されはじめている。 これらはまだ完璧とは言えないが、この方法ではファイルがどこにあるかというのはあまり重要にはならない。

検索といえば Google を使ったサイト検索もキーワードにヒットしたページがリストされ、それを開くというUIで、そこにURL(アドレス)という概念はなくなっている。 また、Yahoo! がもともと行っていたディレクトリ検索が破綻したのもファイル管理の行く末を見ているかのようだ。

このように、モノが大量にある、言ってしまえばちらかってしまった状態では、どこにあるのかはあまり重要ではなく、そこに辿りつく方法こそが重要になってきているんじゃないだろうか。

そんな点から見ると Aurora のコンセプトは、これまでの3Dブラウザとは一味違った感じで期待できる。このコンセプトを直接製品化することはないらしいが、これをたたき台に面白い製品やUIが実現されるのではないだろうか。オレもいい刺激になった。


2 Comments

  1. 近未来のウェブブラウジング

    “ちらかし” のサポートこそが未来のUI – アメリカでがんばりましょうより。adaptive pathがMozilla labsと協力して作った、未来のウェブブラウジングのコンセプトビデオです。 Aurora (complete …

  2. ブラウザが提供するユーザーエクスペリエンス

    Mozilla と Adaptive PathがAuroraという新しいブラウザのコンセプトビデオを公開しているらしい。 ネタ元: ”ちらかし” のサポートこそが未来のUI – アメリカでがんばりましょう なかなかすばらしいものがある。情報やファイルへの辿り着き方が、現在のようなフォルダー

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