金払ってまで地上デジタルを見たいですか?

東京放送(TBS)と博報堂は11月17日、一般ユーザーを対象にした地上デジタル放送の視聴意向調査の結果を発表した。「地上デジタル放送を見たい」としたユーザーは固定型TVで92.8%、携帯端末型TVで74.4%に上り、「地上デジタル放送の視聴意向は潜在的には絶大」としている。

こんなニュースが出ていいんだろうか。

聞きかたがマズいでしょ。 見たいですか? 見たくないですか? と聞かれればほとんどが見たいと答えるわけでその数字をそのまま結果として出したって何の意味もない。 この数字を基にデバイスメーカが生産計画を立てたらどうするつもりなのだろうか。 あ、 「潜在的には絶大」 という言葉が免罪符になるか(笑)。

地上デジタル放送(昔、地上波デジタルって言ってなかったっけ?) を見るためには、ほとんどの人が必要な機材を買うことが必要だ。 昔の VHS から S-VHS、CD から DVD-Audio/SACD へのシフトの歴史から考えても、今でもそこそこ満足してることにお金を払ってまでアップグレードするひとは少ない。

いずれ現在のテレビ放送は無くなると言っているが、それはテレビ局側の勝手な都合なわけで、地上デジタルの普及度が伸びないことできっと予定より延期せざるをえなくなる。 テレビの自然な買い換えで対応世帯は増えていくだろうが、それまで根気よく地上デジタルサービスを続けられるかどうかがこのサービスが生き残るカギになるのではないだろうか?

アメリカではサテライトが少し前からデジタル放送だったと思う(以前契約していた DirecTV では雪が降るシーンなどで ブロックノイズが出ていたので)。 各ケーブルテレビ会社もチューナをレンタル制にしたり、テレビ番組表の配信、Parental Control(ヤバい番組を子供に見せない)といった差別化をしてデジタル契約への移行を促している。 アンテナ立てて見られるテレビ番組は依然としてアナログだが、CNNやMTVといったチャンネルは見られない。 こういった地上波にはないコンテンツを擁することで「テレビを見る=どこかと契約する」というしくみができあがっているため、その契約がアナログからデジタルに変わっているという感じだ。

移行するに足る魅力が日本の地上デジタルには欠けているのではないだろうか。


4 Comments

  1. 地上デジタル放送の嘘

     12月1日から、いよいよ地上デジタル放送が東名阪で暫定スタートする。地上デジタル放送の認知度は約6割なんて報道があったが、実際のパーセンテージは相当悲惨だ。  地上デジタルについて「詳しく知っている」「ある程度知っている」は合計で20.4%。39%は「知っ・..

  2. 嘘くさい調査結果「地上波デジタル放送」

    Mobile:「地上デジタルを見たい」は「9割以上」 TBSなど調査  東京放送(TBS)と博報堂は11月17日、一般ユーザーを対象にした地上デジタル放送の視聴意向調査の結果を発表した。「地上デジタル放送を見たい」としたユーザーは固定型TVで92.8%、携帯端末型TVで74.4%に…

  3. このコメントには大きな誤りがある。「いずれ現在のテレビ放送は無くなると言っているが、それはテレビ局側の勝手な都合なわけで…」とあるが、地上デジタルへの移行はあくまで、テレビ局が推進しているわけではなく、「国策」として総務省が中心となって推進しているものである。テレビ局はデジタル化に伴い、数億円から数百億円の設備投資が必要になり、それによって営業収入が増大するかといえばそういうわけでもない。
    デジタル化によって多チャンネル化・HD化が進めば、コンテンツ制作の予算が増大するのは確実で、特にローカル局は「いやいや仕方なく移行」しているのが実情だ。
    国は、テレビ放送で使用している電波帯域を圧縮し、限られた電波を有効活用したいと同時に、デジタル化に伴うデジタル家電の販売促進で、AV家電メーカーの国際競争力を高めたいという狙いがあるのだ。
    こういう批判をしたいなら、もうすこし勉強してからにして欲しい。

  4. 地上デジタルは総務省の政策という話は知っていたのですが、書いていたときは勢いで「テレビ局が」という書きかたになってしまいました。 今後気をつけたいと思います。
    ただ、主語をテレビ局から総務省に変えたとしても私が言いたかったことは変わらず、たとえ国の政策や高尚な意図があったとしても視聴者に対して魅力が無ければ普及はしない。地上デジタルにはそれが欠けているのでは? と思います。

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